UK Orion ODK20のすべて
UK Orion ODK20のすべて

■概要
UK OrionではODKシリーズの最大口径を誇る口径50cmの天文台向け望遠鏡ODK20をラインナップしております。 ODK20は下位モデルの 口径25cm〜40cmとは異なりトラス構造を採用し、温度変化によるピントの移動を最小に抑える設計となっております。 ODK光学系は 後で述べるように設計性能はもとより製造・メンテナンスの点において非常に優れた安定性を兼ね備えているため大口径になるほど その恩恵はとても大きくなります。 デジタル機器とあわせて深宇宙を探求するに適した望遠鏡です。

■ODK光学系
近年CDK・ODKといった最新モデルの光学系がアマチュア望遠鏡に人気が高まっています。 主鏡に楕円鏡、副鏡に球面鏡、そして 接眼部付近に2〜3枚の補正レンズを配置しFが明るく周辺まで収差が無い望遠鏡は、比較的安価ながら安定した 性能を提供してくれるのが人気の理由です。 ではなぜ安定した性能が提供できるのか紐解いてみましょう。
望遠鏡の最高性能は設計段階で決まります。 しかしながら製造段階の誤差で性能が100%発揮することは滅多にありません。 俗に言う 面精度の問題です。 研磨そのものの精度は部分的に1/20〜1/100λ(λとは1波長のことで多くの場合1λ=0.5μmを採用しています)まで 高めるのは容易ですが、設計値にあわせて鏡全面を1/10λ程度に磨いていくのが非常に困難です。 面精度を測りながら 研磨し設計値に追い込みますが、この”測り”がとても重要になってきます。 


■面精度の測り方
鏡の面精度を測る方法は面形状によって異なります。 球面であればどの位置も同じカーブを描いているため原器を使ったり 点光源を面の求心位置に配置して戻ってきた光の様子から比較的簡単に精度よく測定できます。 これをナルテストといいます。 望遠鏡が すべて球面で製造できれば高精度かつ安定的に量産できるのですが、残念ながら球面は光を1点に集める能力に欠け どうしても非球面が必要になってきます。 球面収差の名前の由来がここにあります。 そこで設計では非球面を使って性能を上げますが、 面が非球面になると事情は大きく変わり製造が困難になります。
非球面の代表的なニュートン望遠鏡の放物面の場合には平行光が一点に集まる性質を利用して完全平面ミラーを放物面と向かい合わせ点光源を一旦平行光にし 平面ミラーで折り返して再度結像し測定します。 測定方法はいたってシンプルですが完全平面が非常に高価です。  双曲面の場合には専用のナルレンズを用いてナルテストを行いますが、ナルレンズの製造に非常にコストと時間がかりコストが増大します。  残るは楕円面と偏球面の2種類で、これらは楕円の特徴である焦点が2個あることを利用するため球面と同様な測り方ができ生産性が向上します。



■球面副鏡
望遠鏡のミラーが高精度に研磨でき正確に組立てられて初めて設計性能が発揮されます。 リッチークレチアン望遠鏡は ミラーが2面だけのシンプルな光学系で、補正レンズなども設計しやすく天体観測にとって理想的な望遠鏡の1つです。 しかしながら副鏡に 非球面を採用していることから組み立て誤差に非常に敏感で、特に副鏡のセンタリングは結像性能を大きく左右します。  わずか0.1mm左右上下どちらかにずれただけでも理論分解能に大きく影響してきます。
これに対しODK望遠鏡は副鏡が球面であるためセンタリングの精度は排除できます。 先にも述べたように球面はどの位置も同じカーブを 描いているからです。 副鏡による光軸調整はシュミカセやドールカームと似て簡単です。

■ODK20仕様表
口径
500o
焦点距離
3400o
F値
6.8
重量
61kg
全長
1180mm
バックフォーカス
255mm
硝材
ショット Suprax
副鏡径
φ199o
反射率
97%

■製造工程