カラーCCDとモノクロCCD 


カラーCCDとモノクロCCD


デジタルカメラなどで使われているカラーCCDと冷却カメラで多く使われているモノクロCCDの違いを ご説明いたします。

■カラーCCDとは
カラーCCDセンサはモノクロCCDセンサとほとんど同じ構造しており、モノクロCCDの各画素の上に それぞれRGBのフィルタを市松模様のように配置しただけのセンサです。 したがってカラーCCDカメラでもあっても カメラ内部の電子回路等はモノクロカメラと全く同じで、出力されるデータもモノクロ状態になります。  したがって出力された映像信号は各画素のもつフィルタ情報に基づき情報が異なるだけで、物理的・機械的には モノクロ・カラーどちらも同じものと考えて差し支えありません。 下の表はカラーカメラとモノクロカメラで天体を 撮影した生データとカラー変換または合成した映像です。 カラーCCDカメラではフィルタ位置に応じて光の強弱が異なるのが わかります。

生データ
カラー変換/合成
カラーCCDカメラ
モノクロCCDカメラー


■ベイヤー配列
このカラーCCDはベイヤー配列に従ったカラーフィルタの並びをしているものがほとんどです。 2x2の4画素のうち 赤を1画素、青を1画素、緑を2画素に配列したもので、緑の画素数が赤と青に比べ2倍になっています。  これは人間の目が緑に敏感である性質を利用した配列になっています。 天体写真は主に赤い星雲が 代表的な色をしているので赤い画素数を増やしほうが良さそうに思いますが、実際には赤い映像であっても 緑の映像が非常に重要になります。 この考え方はモノクロカメラのRGB合成でも通用しており、G画像を 綺麗に撮影することで最終的なカラー合成写真も綺麗な映像になります。

■メリットデメリット
それぞれ特質が異なるためメリットデメリットがございます。 カラーCCDカメラでは1回の撮影で カラー情報が全て撮影できるので、天候の影響に左右されにくいメリットがあります。 またカラーフィルタホイール を必要としないため、構成する機材もシンプルになります。
モノクロカメラではフィルタホイールを使うことでフィルタワークを駆使した自由度の高い撮影が行えます。

項目
カラーCCD
モノクロCCD
感度
モノクロの80%程度
100%
構成
シンプル
複雑
コスト
同じ
同じ
ユーザー数
少ない
多い
色モアレ
ある
ない
■色モアレ
カラーCCDカメラで焦点距離の短いレンズで撮影すると、星の像が1ピクセルに収まってしまう場合があります。 この 1ピクセルが赤い画素に乗っかると赤い星となり、緑の画素に乗ると緑の星になり、本来持っている星の色を 忠実に再現することができません。 直線映像を撮影すると直線に沿って周期的に様々な色が現われます。 これを 色モアレと呼びます。 焦点距離の長い望遠鏡を使ったときにはその影響はあまりありません。

■なぜモノクロ冷却カメラを選ぶのか?
冷却CCDカメラの特徴はCCDセンサを冷やすことで長時間露光でもノイズを抑えることができるところにあります。 逆に言えば、 微弱な光を捕らえるために冷却装置を備えたカメラで、それだけ微弱な信号を正確に記録することが難しいのです。 モノクロ CCDセンサを選択すればフィルタ無しといった使い方でき、カラーCCDに比べ3倍以上の光量を一度に受光することができます。  赤外域まで含めれば場合によっては5倍以上の感度が得られることもあります。 新天体捜索などではこのような使い方が重要になってきます。
ただ一方ではカラー映像を作るのに時間差が生じるため移動天体には不向きであることがあります。 デメリットはあるものの それ以上にメリットが多いため冷却CCDカメラではモノクロCCDセンサをお選び頂くケースが多いと考えられます。

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