HOME > ショットノイズとは 


   デジタルカメラの中で一番理解しにくいのがショットノイズ(フォトンノイズ)です。 ショットノイズはシグナル自体に 含まれるノイズで、量子力学の典型的な特徴をもっているため理解しにくいのですがここでは わかりやすくご説明します。

魚の大きさを測ろうとすると定規を使います。 30cm定規であれば1mmの単位で計ることができ 300mmの範囲まで1mmの精度で計ることができます。  例えば絵のような魚があったとすると10cmつまり100mmということが計れます。 目のいい人であれば 0.5mmまたは0.25mmの精度まで計ることができるでしょう。

ところが光の強度測るときにはそうは行きません。 読み出しノイズの無い理想カメラがあったとして 星の光を計ったときに100電子(100光子)という値が出てきたとしましょう。 このシグナルには 平方根だけの誤差が常に含まれているため、あるときは100電子と表示されてもあるときは90電子という値を 出してきます。 これがショットノイズです。 1電子ずつデジタル表示されているにもかかわらず 強度が大きくなると誤差も大きくなるのです。 定規でたとえれば300mmのものを計ろうとすると その平方根の17mmが常に誤差としてふらふらと変わってくるのがショットノイズです。 30cmの魚を 釣ったのに計るたびに28cmだったり32cmだったり変化するのが量子の世界です。

電子機器の性能を表すファクタにダイナミックレンジがあります。 これはどれくらいの精度で どの範囲まで計れるかを表し、30cm定規でいえば1mm単位で300mmまで計れることから レンジ÷精度=300mm÷1mm=300と表記します。 デジタルカメラは 電子回路で組まれているため慣例的にその性能評価を表すためにダイナミックレンジが使われますが、 実際にはあまり意味をもたないファクタでもあります。 

カメラのフルウェルキャパシティが 1万電子とし、読み出しノイズが5電子だとすると、単純計算では1万電子÷5電子=2000となりますが、先に 説明しましたようにショットノイズがあるため、強度の高いレベルで読み出しノイズの精度で 強度を測ることができません。 強度1万電子のときのショットノイズは100電子となり、このときの ダイナミックレンジは1万電子÷100電子=100となります。 30cm定規よりもダイナミックレンジが悪いことになります。



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